なんでこんなに響くのだろう....。
「Grace (Legacy Edition)」 Jeff Buckley
実は以前に
Legacy Editionではない方を聴いての話を夭折したミュージシャンの話として書いたけれど、この度ようやくLegacy Editionを入手した。
2CD1DVDで、1枚目は元の
「Grace」のリマスター。2枚目はボーナスCDで未発表テイクやライヴ版。そして、3枚目はプロモやインタビューやスタジオの映像というもの。
未だに日本にこの人が来た時に行かなかったことが悔やんでも悔やみきれない。特にリキッドルームみたいな近い場所でこの人の歌が聴けた人はもう一生分の幸せと感動を得られたことだろう。うん、純粋に羨ましい。
最近は
James Bluntがあの
”You're Beautiful”で話題を呼び、そのアルバム
「Back to Bedlam」も恐るべき売り上げらしい。世の中がきっとああいうスローミュージックでの感動や癒されを求めているからなのかもしれないが、本意ではないかもしれないけれどあの執拗なまでの感動を誘う部分が「わざとらしい泣かせる映画」を連想させて素直に聴けないばかりか表面的にしか響いてこないのだ。ちょっと言い過ぎかもしれないし、BGM的には文句もないかもしれないがその楽曲に浸ることはなかなか出来ない。
そういう意味でこん棒で頭を殴られたかのごとくその世界にひきずりこまれドップリと浸からせられる
Jeff Buckleyは全く違う。本当に痛いくらいに胸に響いてくる。
これは夭折とかではなく、このアルバムの曲自体が本当に深いのだ。潜っても潜っても足りないくらいに深いのだ。しかも、この
Legacy Editionではさらにその感を強くさせる未発表テイクもあるし(もう1枚くらい出来ただろうに.......)、あまり目にする事が出来なかった動くJeff Buckleyも見られる。メイプルのテレキャスターを抱えて歌うその姿には見ていて鳥肌が立つくらいだ(初めてテレキャスターが欲しくなった)。これこそ、この後が無かったから言えることかもしれないが、その歌う姿が痛々しいほどに神々しく見える。特にファルセットを使ったあの声はもう、もう、たまらない。多分ファンであればあの姿だけで落涙するだろうし、マニアックなファンではないこの僕だって目頭が熱くなってしまった。
僕自身も「Grace」を持っていながらこのLegacy Editionを入手したが、これだけは曲と声の素晴らしさをアーティストに求める人なら「Grace」を持っている持っていないは関係なく持つ必要がある(そこまで断言!)アルバムだろう。
感動屋さんはハンカチを忘れずに。