どう聴きますか?。
The Yardbirds 「Roger the Engineer」
The Yardbirdsの名作として誉れの高い
「Roger the Engineer」。
もちろん、リアル(というより、生まれた頃ですよ)で知っているわけがないし思い切り後で聴き直したワケだけれど、さすがにその後
JBGから
BB&Aからソロに至る名作(
「Wired」くらいまでかな?)を全て聴いた後でのインプットだったので、このアルバムでの
Jeff Beck大先生の凄さというのは正直ピンとこなかった。まあ、その後に同時代のアルバムを色々と聴いてからではその評価の意味も多少はわかりかけたけれど...。
まず、Jeff Beck大先生がメインのバンドでないということで楽曲的に必ずしもギターが中心ではないし、時代が時代だけにギターの音だって歪みも少なければ殆ど素のままのようである。但し、全てのソロをJeff Beckが演っていること、その少ないフレーズの中にも光るもの、また若いゆえに非常に荒々しくキレが良いプレイが聴かれるところ、そしてなんと言っても
”Jeff’s Boogie”が入っているところがやはり重要な作品という位置づけでもJeff Beckファンには全く問題ないと思う。
Jeff Beck Groupとなって
Rod Stewartの声もあって、いきなりハードなブルース・ロックをお見舞いするワケだけれど、このアルバムではブルース・ロックというよりはカントリー・ロックというかロカビリー的な要素も非常に濃い(まあ、Jeff Beck自身が
Les Paulや
Chet Atkinsの影響を受けているので当たり前だけれど)し、ロックではあってもハードな音は殆ど聴けない。
が、
”The Nazz Are Blue”などでは非常にロック色の濃いギターを弾いてアイドルバンドらしからぬ本格ギター(既にフィードバックも入っているし)が目立ちすぎなくらいに入っている。左のチャンネルから聴こえてくるハードリフはなかなかどうして気合いが入っている。
そして、本当に全編がロックンロールで終始する”Jeff’s Boogie”は、よくぞバンド(それも売り出し中!)のアルバムに新参ギタリストのこんなやりたい放題のインストを許したなと思ってしまうくらいの好き勝手弾きまくりチューンが思わずニヤリとさせられてしまう(
Keith Relfがよくコレを入れるのをOKしたなあと感心してしまう)。
他にはエスニック調ありバグパイプ的なワールドミュージック等世相を反映するバラエティにあふれたナンバーが散りばめられているが、上に書いた2曲を聴くだけでもギタリストとしてはなかなか華やかにこの世界へ飛び出してきたことが分かる。
まあ、多くのJeff Beckファン同様に僕自身も
「Blow By Blow」、「Wired」、「There And Back」のクロス・オーバー3部作(すいません、勝手に名付けました)がリアルでもあり一番好きな時代なのだけれど、この「Roger the Engineer」みたいな作品を通り過ぎた結果にこれまでのJeff Beckがある、という意味で非常に聴く必然性の高いアルバムだと思う。
余談だけれど、
Led Zeppelinになると言われた
”Beck's Bolero”のメンバー+Rod Stewartが本当に実現していたら、確かにその時点ではスーパーバンドが出来たかもしれないし、 Zep並みのヘヴィさは手に入れられたかもしれないけれど、やはりそれではうまくいかなかっただろうしあれほど全世界的に売れるバンドにはならなかっただろうし、もちろんJeff Beck自身も後にクロスオーバー的方向には進まなかったと思うので、全てが現在に至る必然だったのだろうと、思う。
しかし、普通にCD屋で売ってくれよ、
「OFFICIAL BOOTLEG USA '06」。